消費者民主主義??何だそりゃ。

 7月28日にNHK総合の日曜討論会で、想田和弘という人が『消費者民主主義』という言葉を使った。あまりにも面白い言葉だったので1発で覚えてしまったし、現代の世相に合った言葉だったので笑ってもしまった。
 
 想田和弘は、今回の参院選投票率が低かったのは自分に合う立候補者がいないと感じる有権者が多くなったからである。それは、現在の有権者が商品を選ぶ様に立候補者を選んでいるという意味合いであった。
 私もそれを感じていたが、消費者民主主義という言い方は現代有権者の特徴をよく表していると思う。
 
 18世紀後半から始まった産業革命により、我々は大量生産の恩恵に浴し、生活条件はそれ以前に比べ格段に向上した。
 企業も大量の商品を生産し大量に販売する事で市場規模が広がり、産業革命以前に比べると収益が増加し、企業間の競争も激化した。
 
 企業は、より収益を得るために魅力的な商品を開発し続けた。すなわち、消費者は企業から与えられる商品を選ぶだけになってしまった。
 その様な行動様式が政治の世界にも波及し、権利の行使である選挙においても我々有権者は立候補者が自分に合うかどうかで判断し、合う者がいなければ棄権するから投票率が下がる。
 
 ある意味、現代の日本は階級闘争の時代が終わり、そこそこに豊かな親の庇護の下で、親が行けなかった大学に行き、親が欲しかった物を買い与えられた世代が消費者民主主義に溺れているのかもしれない。または、階級闘争の夢に敗れた年寄りに支持政党離れを起こさせたのか判らないが、現状は確かに想田和弘の言うとおりかもしれない。