金融界は安倍首相を信用していない?

 来年度の生活費を下ろしに銀行に行った。さほど大きな金額ではないのに銀行員は定期預金の説明を始めた。普通預金よりは利子が良いですとは勧めるものの、昨年の様にキャンペーン活動の利子優遇策は無く、単なる定期預金であった。
 例年ならば、100万円に千円の商品券をプレゼントとか、最初の3ヶ月には利子を上乗せするとか勧誘策があったのだが、今年は何のキャンペーンも策も無い勧誘であった。
 年末と年度末は銀行にとっての大事な書き入れ時であり、集金に知恵を絞るのだが、今年の銀行の年度末の無策をどうとらえるかは我々の考え所である。
 
 私はアベノミクスによる『円安誘導』と『株価上昇』をミニバブルと見ていた。それは、人間が変化を好む生き物であり、停滞の閉塞感を我慢できない生き物だからだ。
 バブル崩壊後の停滞は長く大きかった。その上、経済が上昇傾向を見せると、日本以外の国の経済事情の悪化で日本経済も腰を折られた。すなわち、我々は長い停滞経済に飽きていたのだ。
 
 そこに安倍の一言があった。それはカツオの群れにイワシを投げ込んだ様なものである。円が下落し始めると同時に株価が上昇し始めた。それは、実体経済の伴わない株価上昇であった。
 ゆえに、私は『これはミニバブルだ』と感じた。それは円と株価のシーソーであり、まさしくミニバブルだった。ところが、春闘自動車産業が一時金の増額という実体経済が出てきた。私は『ヒョットすると希望があるかも』と思った。
 だが、今回の銀行の一件があった。下ろした銀行でも優遇策の無い定期預金を勧められ、積んだ銀行でも優遇策の無い定期預金を勧められた。
 
 年末と年度末にはキャンペーンを展開した銀行が今年はそれをしない。この事は、金融界はまだアベノミクスを信用していないという事なのかもしれない。
 あるいは、実業界が銀行に資金調達を申し込んだ時、他行よりも安い金利を提示して顧客を獲得する前の作戦なのかもしれない。
 まあ、それはどちらでもよい。だが、銀行のしわ寄せが一般預金者に被せられている様で気分が悪かった。