経済効果という言葉の欺瞞。

 東京都にはオリンピック招致の資金が4000億円プールされているという。また、オリンピック開催による経済効果は10兆円以上といわれている。
 ただし、ただし。民間企業目線で考えると『経済効果』という言葉は非常に曖昧である。それは、この言葉が結果を示しているわけではないからだ。
 
 卑近な例で考えてみると、商店の目玉商品を考えればよい。商店からすれば、目玉商品は仕入れ値を割ってでも客寄せのために必要であり、目玉商品以外の物も買ってもらわないと赤字になってしまう。
 政治が税金を投入してオリンピックを行う。人が集まり経済効果は上がり、地域が潤う。それを『経済効果』と言う。それはそれで良い。
 だが、それは決算ではない。すなわち、祭りに投入した税金はそれを上回る税収で潤うのだろうか。
 『経済効果』という言葉には税収が上回るか否かまでは含まれていないのだ。だから私は『経済効果』というのは税金投入を正当化する欺瞞だと思う。
 
 政治家や学者に経済効果による税収増加を聞くと、オリンピックのための各種整備が数年前から始まるので、税収が緩やかに上昇するモデルを描き、オリンピック後の税収低下も緩やかなモデルを作る。
 だが、オリンピックの経済効果は数年前から上昇しても、終わると急速に低下する。すなわち、作られるモデルの後半を切り捨てても税収が投入した税金を上回るかどうかが大切なのだ。
 
 政治家や学者が『経済効果・経済効果』と煽り立てるが、それは目玉商品が売れた様なもの。店がにぎわっても目玉商品だけが売れただけでは赤字になるのが当たり前。
 経済効果を叫ぶだけではなく、投入した税金以上の税収が得られるのか知らせてほしい。そして、税金の回収ができないならば、熱しやすくて冷めやすい祭りは止めるべきだ。
(カクテル「オリンピック」の注意事項:ひどい二日酔いを覚悟のうえ飲用の事)