ブルーアイスとブラックアイス。

 スキーを始めた頃、時に雪が青みがかって見える事があるので、ブルーアイスという言葉を聞いた時には直感的に理解できた。テレビで見る氷河などの厚い氷もなんとなく青みがかって見えるから言葉に違和感はない。
 ところが、ブラックアイスという言葉はピンとこなくて、どんな状態の氷をそうよぶのか判らなかった。
 
 もうひとつ、ブラックアイスという言葉が心の片隅に長年引っかかっていたが、群馬県で働いた時に理解した。冬の群馬の名物はカラッ風といわれ、降雪量は新潟県や長野県境の山岳地帯以外では少ない所である。ところが、雪の降らない晴天の夜間は放射冷却でものすごく冷える。すると、明け方に霧や小雨があると道路の表面に凍りついてツルツルになる。
 そんな風にして道路表面に凍りついた氷は車を運転していても見分ける事ができない。それに気づかずに急ハンドルなどを切るとスピンしてしまうし、ブレーキもきかない。
 
 道路に張り付く様に凍った氷は確かに怖い。群馬で乗っていた車にはスノータイヤをつけていたが、真冬の赤城山に上る途中で危険を感じてチェーンを付けようと車から出たとたん、見事にひっくり返ってしまった事がある。
 チェーン装着場の舗装面に道路と見分けがつかないほどに薄い氷が張り付いていて私の靴はグリップできずにスッテンコロリン。ブラックアイスとは、この様に道路表面に薄く凍り付いて道路と同じに黒く見える氷を言うらしいが、私的には今もこの言葉は腑に落ちないで引っかかったままになっている。