国家による経済牽引力の陰り。

 経済学の発達により国家の経済政策は変化し、近世は税金により経済の先導ができると信じられ、公共投資を行う事で経済を活性化しようと道路や箱物を造ってきた。
 ところが現在の経済情勢を考えると、民間の競争原理による経営の合理化で民間企業は乾いた雑巾を絞る様な企業努力をしてきた。それは一部では外国への技術移転となり、一部では研究開発の競争力低下となり、一部は下請けイジメとして国内中小企業を痛めつけてきた。
 
 すなわち貧乏人に戻し税としてお金を還元しても預貯金になってしまう様に、公共投資をしても現在の民間企業はそれに応える状況にないのだと思う。
 現在の社会情勢にあっては、従来の植物に上から水を掛ける様に、大企業から中小企業へ向けてお金を流すのではなく、土に水を与えて植物がそれを吸い上げる様にお金を流すのがよいと考えられる。
 
 そのためには低所得者の減税をし、魅力ある商品やサービスの開発に力を注ぐべきで、ベーシックな購買意欲回復こそが経済の回復力になると思う。
 私も購買意欲の衰えた老人に分類される様になり、実際、パソコンもCPUはペンティアムでOSはXPのままである。車も15年目の車検だし、特に新しい物を欲しいとは思わなくなっている。食べ物もすぐ満腹してしまうので食べ放題の必要もなくなった。
 
 現代日本はそんな購買意欲の低い高齢者が増え、若者が減っている。特に悪いのは、購買意欲はあっても収入の少ない若者が多い事で、景気の冷え込みはそんな世相も影響していると思う。
 
 まず、若者という新しい土に水をやる事を考えよう。そして、高齢者という古い土を活性化する方法を考えよう。な~に、簡単な事だ。若者には職を、高齢者には不安のない老後を考えればよいのだ。
 
 その方策が
憲法を改正」し「自衛隊国防軍」にし「核兵器」を『持つ事』でないのは誰にでも判る。なにより、軍隊というものはお金ばかりかかって何も生産しないものなのだ。
 軍隊で潤うのは軍需産業と色町だが、そこに落ちるお金はすべて税金である。まして、現代兵器の多くは日米安保条約の関係でアメリカと同じ物が使われ、アメリカに多くの税金が流れる事になる。
 また、日銀法を変えてまで建設国債を発行してもベーシックな購買意欲が向上するわけでないのは、今までの公共投資が功を奏さなかったのを見れば判る事である。すなわち時代遅れとなった政治家や経済学者に用は無いのである。
 
 日銀法を変えるより先に、日銀から無利子に近い金利で金を借りる銀行が大企業には借りてもらおうと媚びるのに、中小企業には門前払いで貸し渋るのを止めさせる事を考えろ。
 それこそが根元に水を与える第1歩だと私は思う。