四十肩も辛かった。

 ギックリ腰はひどく辛かったけど、四十肩もかなり辛かった。普通にしてれば何ともないのだが、手を上げると肩が痛む。正確に言えば、肘が肩の高さを越えると肩から背中の筋肉が痛む。
 イテテなどと言おうものなら、周囲から『年を取ったな四十肩だろう』と言われる。更に『筋力が低下するから四十肩になる』などと言われれば筋力アップを考えるが、運動すれば肩が痛む。『ストレッチがいいよ』と言われてやってみるが、腕を上げるだけで痛いのだから始末が悪い。
 
 家庭生活では洗濯物を干すのが億劫になってしまった。休みの日には物干し竿を拭き、洗濯物を干すのを手伝うが、腕を上げる時に思わずイテテなどと言ってしまう。すると「やらなくてもいいわよ、いつも1人でやってるんだから。」と女房に言われるのもくやしかった。
 確かに、私が勤めの日には女房が物干し竿を拭き、干すのだからその通りなのだが、チビの女房が爪先立ちで洗濯物を干すのを黙って見ているのも心苦しかった。
 
 四十肩で病院へ行くのも何なので、筋肉痛や肩こりの常識である『暖める』事を考えた。特に、寝ている時の肩の痛みを何とかしようと考え、小さな電気毛布(55cm×140cm)を肩の下に横に敷いて肩だけ温め、抱き枕の様な肩幅よりも長い枕も作って肩の冷えを防ぐ様にした。
 これは効き目があった。秋口から春先までの寝ている時の肩の冷えがなくなり、安眠にもつながった。ただし、四十肩の痛みが無くなったわけではなく、夜中に肩の痛みで目覚めてしまう事が無くなっただけなのだが、それでもありがたかった。
 
 40代後半で始まった私の四十肩は5年ほど続き、50代になったら『あの痛みは何だったの』という様に消えてしまった。そして、次に肩が痛んだのは60代になってからだったが、これには原因があった。
 私は痛風の薬と高脂血症の薬を飲んでいる。痛風の薬は『アロリン』高脂血症の薬は『ベザテート』。ところが『ベザテート』では中性脂肪抑制が弱く、前に通っていた病院では途中から『クレストール』に変更された。
 『クレストール』に切り替えてから数ヶ月は中性脂肪が低下し、食欲コントロールも上手く行ったのだが、半年ほどすると倦怠感と六十肩?になってしまった。特に腕の筋肉を使いたくないという明確な倦怠感と、やる気の出ない無気力感で食欲コントロールができなくなってしまった。
 主治医に『クレストール』をやめてくれと頼んだのだが、聞き入れてもらえなかったので病院を変えた。次に行った病院でも、血液検査の結果から『クレストール』を勧められたが、前の病院での症状を話して『ベザテート』にしてもらった。そして六十肩は消えた。
 
 クレストールにもベザテートにも筋肉を溶かす副作用があると聞いたけど、私の体にはクレストールの副作用の方が大きく、倦怠感や無気力感などの精神症状と六十肩という副作用が出た。
 できれば『ベザテート』もやめたいけど、高脂血症の治療を始めたら140mmHgを越えていた血圧が徐々に下がり、数年後には130mmHgを下回る様になったので『ベザテート』をやめる勇気が出てこない。