ギックリ腰に悩んだ20年。

 高校を卒業して無線屋の第一歩を踏み出し、独身寮に住んだ。同じ敷地には所帯持ち用の一戸建て社宅があり、先輩の子供達が独身者の買った漫画雑誌などを見に独身寮に遊びに来ていた。
 
 最初の夏のある日、仕事から帰ってきて独身寮に入ろうとしたら先輩の子供が塀の上から飛びついてきた。急だったので抱き止められずにそのまま倒れてしまった。
 そして、ギックリ腰になり数日はひどい痛みで休んだ。痛みがひいて出社したが、長く立ち仕事を続けると腰が痛くなった。
 歳をとるにしたがい、長い立ち仕事の後にギックリ腰が出る様になり、時々休む様になってしまった。
 
 ある時、通勤が約2時間かかる様な所に住み、通勤電車での疲れが貯まってひどいギックリ腰になってしまった。
 若い頃からの持病なので治療方法など無いだろうと思いながら近所のカイロプラクティックに行ってみた。すると先生が『腰骨の上の背骨が数個ズレている』と言い、ガクン、バタン、グキンと背骨を回したり押し込んだりして『治った』と言った。
 更に『ギックリ腰は背骨を支える筋肉の捻挫だから痛みはもう少し続く』と言われて帰ってきた。痛みが消えて通勤できる様になったが、体が変わった気はしなかった。
 
 変わったと気づいたのは数ヵ月後で、立ち仕事で背中が痛まない事に「アレ?」と思った。それからはギックリ腰で動けなくなる様な事は起きていないから、20年以上前のあのカイロプラクティックの治療で治ったのだと思っている。(二十歳前のギックリだからもう約50年前になるんだな~)
 ただ、会社でカイロプラクティックに行った事を話したら『背骨をいじるとアレが立たなくなる』と散々脅かされてしまった。それは本当の事なのかもしれないが、私の場合は名医のおかげでその様な後遺症は無かった。