ゼロハン(50cc)はオートバイか。

 オートバイを自動車に乗り換えた頃、鹿島工業地帯の近くに引っ越しました。工業団地開発から10年ぐらい経っていたはずだけど、まだあちこちに整地しただけの土地が広がり、雑草が生え風が吹けば土埃が舞い上がる。工事用車両の通る太い道路も頻繁な大型車の行き来であちこちに穴があき、商店も少ない。まるで西部劇の町の様でした。
 
 近くに商店が少ないので、週末は家族揃って遠くのスーパーへ買い物に行きましたが、問題は平日の保育園の送り迎えでした。
 女房は自動車の免許がありませんので、子供を保育園に連れて行ったり、買い物に行くために実地試験の無い原付免許を取りました。
 運良く一回で免許を取り、ヤマハのパッソーラを買いました。まあ、自転車から乗り換えるには馬力も少なく、超初心者の女房が子供を乗せて田圃道を走るのには充分でした。しかし私には非力でどうにも我慢のできない乗り物でした。
 
 その後、大宮に引っ越したら商店街も近く便利な所だったので、女房もあまり乗らなくなりました。そうしたら、ある時パッソーラが見えなくなり、住んでいる所からずいぶん離れたマンションの駐輪場で見つかりました。
 引き取りに行ったところ、エンジンキーを何かでで無理矢理回して壊したらしく、エンジンキーのプラスチック製の回転部分が無くなっていました。
 
 女房が次にホンダのタクトを買ったのは前橋に引っ越してからです。もう子供も保育園や幼稚園は卒園していましたが、商店街から離れていたのです。
 群馬は1世帯あたりの自動車保有数が日本一だそうで、セカンドカーに軽自動車を持っているお宅がたくさんありました。女房がバイクで走っているのを見かけたご近所さんは『バイク怖くない?』と聞き、続けて『とてもバイクに乗りそうには見えない』とか『自動車の免許取りなよ』と言ったそうです。
 
 女房のバイクを使う主目的は買い物で、商店街が遠い所では乗ったけど楽しくはなかったのです。その証拠に数年前から自転車もやめてしまいました。健康のためと言いながら片道約10分の歩きを苦にしている様子も見えません。
 
 私が自分用の50ccバイクを買ったのは自動車に積みたくて買った中古のズークだけです。車に積んで草津に行きあちこち乗ろうと思ったのですが、草津は山の町で坂道だらけ。燃料タンクが約2リットルのズークはガソリンばかり食って行動半径が狭くて役に立ちませんでした。