兵隊はカッコイー!!のです。

 同じ制服を着て整然と行進し、キビキビと動きます。その一挙手一投足が子供心に格好よく映ります。多くの子供達は兵隊になろうと考えます。少なくとも戦前はそうでした。
 
 それに武器も格好いいんです。今の歩兵銃は1分間に約500発は銃弾を発射できます。銃に付いている照門と照星で照準を合わせれば300m先の人間の頭を吹き飛ばすのなんか、引き金を絞ってから半秒で済むのです。『銃さえあれば怖いものは無い。』てな気になります。スコープを付ければ1Km先の人間の頭だって1秒チョットで吹き飛ばす事ができます。
 
 コブラやA10に乗れば地上の人間などアリンコを踏み潰すより簡単に殺せます。戦車に乗ればトーチカを吹き飛ばし、中に人間がいた形跡すら残しません。黒焦げの死体があったらキャタピラーで踏み潰し数回前後したり、踏み潰したのとは逆のキャタピラーだけで旋回すれば車に轢かれた猫ほどの形も残りません。
 
 人間はなんで人間を殺すのでしょう。武器があって、それが相手より有利な状況を作り出し、ほんの少しの優越感を抱けば、『生かすも殺すも俺の一存。』そして慈悲心よりも『人間は執念深いもの、こいつも復讐を考えるだろう。』と思えば殺すのに躊躇しません。
 
 武装した兵隊に町の中を歩かせるのは大反対です。武器を持ち、優越感で殺し、優秀な兵隊になる。町中に武装した兵隊を出す事が結局はそれにつながるのです。ほんのたまたま町中を行進させたのが頻繁に行われる様になり、いつしかそれが日常的に行われる様になるのです。
 市井の人々も歓声で迎え、国旗を振って応える様になるのです。そして人を殺す様になります。死なずに帰ってきた兵隊の家族は喜ぶでしょう。でも、殺された兵隊の家族は悲しみます。生まれてから約20年、慈しみ苦労して育てた命がたった1秒にも満たぬ時間で失われていくのです。
 
 『武器税』という考えがあるなら、『兵隊は60歳以上』とか『70歳以上』という考えもありでしょう。死んでもお釣が来る歳だし。多分、戦わないで共存する知恵を出すのではないでしょうか。