私の老眼鏡。

 歳をとると、離せば判る老眼になります。若い頃、老眼の上司が顔を少し下げて、額に皺を寄せて、老眼鏡越しに見るのが嫌でした。また、2重焦点の老眼鏡をかけた上司が顔を少し上向きにして、下のレンズを通して見るのも嫌でした。
 とうとう私も老眼になり、どんな老眼鏡にすればよいか悩みました。そして、写真の様なレンズ跳ね上げ式の老眼鏡を作りました。
 
 若い頃に嫌な思いをした仕草で後輩を見る事もないであろうと、パコッとレンズを180度跳ね上げました。途端に若い奴が『プッ』と噴出しました。イヤ~、笑われるとは思っていませんでした。
 多分、若者達はこんな眼鏡フレームを見た事がないのでしょう。それもそのはずです。余計なメカニズムのせいで重いのです。プラスチックレンズの眼鏡の2倍以上の重さがあります。
 
 でも、そのうち慣れてきて笑わなくなりましたが、それも意外と寂しいものでした。そこでギャグをかませました。
 『この眼鏡の欠点は額に2ケ所火傷するんだ』
 
 はい、ウケました。でも、ギャグはすぐに使えなくなってしまいました。そして、次のギャグは作れませんでした。まあ、皆が慣れてギャグをかませる必要もなくなりました。