私の好きな音楽。

 父方の故郷は遠かったので、夏休みなどはいつも母方の祖母の田舎に行きました。祖母の家には戦時中からの並4ラジオがあり、常にNHK第1放送に固定されていました。民放のラジオドラマが聞きたいとせがんでも、祖母は子供の私に『故障する』とさわらせませんでした。
 
 祖父は早くに死んでいたので、祖母は朝起きるとラジオのスイッチを入れ、寝る時に切っていました。常に流れるNHK第1放送は、子供には面白い内容ではありませんでしたが、なぜか12時15分だったか20分だったかに始まる『昼の憩い』で流れる音楽は心に染みました。
(『昼の憩い』は『のど自慢』に次ぐくらいの長寿番組だそうです) 
 
 作曲は古関裕而ですが、NHKの放送用に作曲されたのでほとんどレコードになる事はありませんでした。放送を録音しようにも音質の悪いAM放送だし、音楽はアナウンサーが読む『○○県農事放送通信員』の地方の話題のバックグラウンドに流されるので録音する気になれませんでした。
 
 最近といっても1年ほど前ですが、古関裕而がNHK用に作曲した曲をNHKがCD化しました。恋いこがれた私のソウルミュージックですから飛びつく様にして買いました。
 それまでは喜多郎の『シルクロード』が好きでしたが『昼の憩い』を手に入れたら、喜多郎には申し訳ないけど、私のソウルミュージックはこっちだったと気づきました。でもなぜそこまで刷り込まれたのでしょうか。私にも判りません。