昔の私はカウボーイだった。

 表題の『カウボーイ』はパソコンが勝手に誤変換したもので、正しくは『買うボーイ』です。私に責任はありませんが一応訂正してお詫びします。なお、これにより訪問者様に損害等が生じてもすべて免責とさせていただきます。(自分で書いて自分で笑ってりゃ世話ねぇ~や)
 
 私の父親は太平洋戦争以前から印刷工場をやっていましたが、鉛を主原料とした活字は軍需物資として重要だったので、活字を度々供出させられて終戦前に印刷工場をたたみました。
 そんなわけで、戦後の不景気に育った私は『物の無い時代+貧乏』で欲しい物があっても指をくわえて見ているしかありませんでした。その上、歳の離れた長兄は中学生になっていましたので、お金は長兄優先に配分され、私に回ってくる物はおもちゃから着る物まで長兄のお古でした。
 そんな育ちからか、私はかなり重度の『欲しい欲しい病』にかかっていました。
 
 就職して自分で自由になるお金(お年玉でも貰えなかった額のお金)を持った時、私の『欲しい欲しい病』は頂点に達しました。とにかくそれまで指をくわえて見ていた物が買えるのです。欲しい物があれば分割払いで即買いました。(欲しくて支払いに気が回りませんでした)
 そして、月給の半分以上が月賦の支払いで消えるという異常事態になり、毎月々月賦返済に汲々とする生活に落ちてしまいました。預貯金は皆無で、毎月お袋に渡していた金をお袋が貯金しておいてくれなければ自己資金はゼロでした。
 
 働き始めて最初に買ったのが漫画の単行本でした。子供の頃、漫画を回し読みするのは当たり前でしたが、自分も何か面白い漫画本を持っていなければ回ってくる順番は遅くなりました。(くやしかったですね~)
 次に買ったのが無線屋仲間にバンドをやっているのがいて、ギターやベースなどを持っていました。私には音の並んでいないギターは無理だったので、音が順番に並んでいるグヤトーンの4オクターブのキーボードを買いました。(挫折して後輩に売りました)
 その次はテープレコーダーでした。そして再生装置やレコードにお金のかかるオーディオ地獄に落ちたのです。オーディオとは金がかかるものなのに、ホンダのCB350まで買ってしまったのです。(救い様のない買うボーイです)
 
 その地獄から救ってくれたのが女房です。女房は『欲しい物は現金で買いましょう』と提案したのです。現金払いの利点は、お金が貯まるまでに買おうと思った物で何をするかを考える時間がある事です。そのおかげで衝動買いによる無駄がなくなりました。
 結婚して得をしたのは私です。現金払いで私の『欲しい欲しい病』は小康状態を保っています。(完治でないところが怖いですね)