やろうと思っていてもできない事。

 持っているすべてのLPレコードをパソコンに保存する事。LD(レーザーディスク)の中でDVDでは発売されていない映画をDVD化する事。HD(ハードディスク)に録りためたテレビ番組をテーマごとに整理する事。
 
 LPにしろ、LDにしろ、DVDにしろ、HDにしろ、レコード(記録)というものは消滅して行くのが定めで、たとえ媒体が残ったとしても再生装置が無ければ消滅したのと同じだ。
 技術は進歩し、古い技術は忘れ去られる。パソコンを見ても、FD(フロッピーディスク)を内蔵したパソコンなど見かけなくなった。FDはレガシーの選から落ちて過去の遺物となり、外付けのFDユニットを買うしか方法が無くなった。
 
 記録は消滅するものとあきらめるか、新しい記録媒体に移し替えて残すしか方法はない。まあ、アナログ記録のLPは原理構造がシンプルだから日曜大工程度の工作技術があれば再生装置を作れるが、LD、DVD、HD、になると高度なメカトロニクスが必要となり日曜大工の工作能力では自作できない。
 勿論、私にその技術レベルはない。それに気力も視力もない。歳をとるとまず老眼が煩わしく、細かな作業をこなす気力が失われる。体力の衰えも持続力を奪う。それに、頭の衰えは集中力に影響を与え長時間の作業ができなくなる。
 たとえ面白い映画でも見続けられるのは2時間程度だし、往年の大作『クレオパトラ(LD3枚組で246分)』など絶対に途中で寝てしまう。
 
 だが一番の問題は、記録をメディア変換して保存しても、私が残したものを子供や孫が見たり聞いたりするかである。多分それはないだろう。本当に正しい方法はすべての収集品に『我とともに来たりて、我と共に滅ぶべし。』と呪文をかける事なのかもしれない。
(この呪文は手塚治虫『三つ目が通る』の主人公シャラクのセリフです)