北朝鮮の人工衛星発射。

 米ソの宇宙開発が大陸間弾道ミサイルの性能誇示であった事は歴史上の事実である。すなわち、どれだけの重さの核弾頭をどこまで飛ばせるかという事で、大型の人工衛星を打ち上げられるならば、正面からの核攻撃だけでなく背面からの核攻撃も可能という事になる。
 今回の北朝鮮人工衛星発射についてはアメリカだけでなく、中国もロシアも中止を北朝鮮に働きかけている。日本は第2段ロケットが国内に落下する場合は防御用ミサイルで破壊するとしている。
 
 だが本当のところ、私は中国の動きが気になって仕方がない。なぜ中国が今回は強くミサイル発射を止める様に働きかけるのだろうか。単に国際的な常識だけから動いているとは思えない。やはり中国と北朝鮮関係の高度な政治判断が働いているのではないだろうか。
 
 多分、中国は金日恩を快く思っていないのだと思う。中国国内で金正日の長男である金日男の暗殺未遂は起こすし、中国に内密で韓国に軍事行動を仕掛けるし、人間としては政治的手腕の無い単なる軍の傀儡としてしか見ていないのではないだろうか。
 できれば金日恩を失脚させ、人物も判り中国とも深いつながりのある金日男に北朝鮮を治めさせたいのではないだろうか。
 
 日中戦争のもととなった蘆溝橋事件がたった1発の銃声から始まった様に、PAC3で落下するブースターロケットを迎撃しても、北朝鮮人工衛星打ち上げが失敗しても、あるいは打ち上げが成功しても紛争に発展するかもしれない。
 第一、日本は本当に落下するブースターロケットだけを打ち落とすだろうか。アメリカにすればミサイルディフェンスを試す絶好の機会でもある。落下するブースターロケットでなく上昇するロケット本体を打ち落としても、軍事的にはミサイルディフェンスの完全性を誇示できるのでアメリカに損はない。
 
 今、歴史を学ばないお馬鹿でわがままな極東の小国をめぐって国際政治の思惑が渦巻いている。