見たい映画と、見てもらいたい映画。

 題名も何も判らないのですが、1度は見たいと思っている戦争映画があります。
 
 敵に捕まり、ロープを首にかけられて橋の上から落とされるが、幸運にもロープが切れ、川に流され逃げる事ができる。そして、故郷へ帰れる。しかし、それは彼が落下する瞬間の空想であり、ロープは切れずに死んでしまう。そういうあらすじを昔ラジオで聞きました。多分、ヨーロッパで戦後に作られた映画だと思いますが、いまだに見ていません。
 
 皆さんに見てもらいたいと思っている映画は『ジョニーは戦場に行った』という映画です。これはレーザーディスクで持っているのですが、レーザーディスクのプレーヤーが壊れて見られなくなってしまいました。
 あらすじは砲弾の爆発を直近で受け、手足と顔の下半分を吹き飛ばされた生ける肉塊が運ばれてきます。軍は研究のために生かしておきますが、看護婦が胸に字を書く事により意思がよみがえり、体を震わせてモールス信号を表し意思疎通を図るが、軍はこの悲惨な状況を隠蔽してしまう。(実話の映画化だそうです)
 この映画の表現のすごいところは、肉塊となった主人公の夢はカラー映像で表現し、現実をモノクロ映像で表現している事です。
 
 私は戦争映画が好きなわけではありません。ただ、戦争という極限状態では人間の生きる本質が出ます。だから、単に交戦気分を高揚させる映画は嫌いです。でも、避けられぬ不条理に人間がどう対処するかを描いた戦争映画は気になるのです。
 映画『エデンの東』にも少しそんなシーンが出てきます。出来の悪い次男(ジェームスディーン)の父親が第一次大戦のヨーロッパに義勇兵をつのるシーンがあります。『誰それは息子を出そうとしない』などと文句を言うのに、出来の良い長男が義勇兵に志願した事で血圧が上がり倒れてしまう。(次男の志願だったら倒れなかった?)
 
 戦争ではありませんが、3月11日の東日本大震災で鉄道が止まり、身なりの良いサラリーマンにホームレスが『直接座ると冷えるよ』とダンボールを渡していました。不条理に皮肉な現実を垣間見たニュース映像でした。
 戦争映画にはそんな事が凝縮して詰め込まれています。