久々に見た筑波山。

 肉眼で見たわけではないが、12月4日午前11時54分からの天気情報のオープニング画面でNHK屋上から北側の映像が流れた。代々木公園の森の彼方に富士山の様に秀麗な裾野を引く筑波山が映っていた。
 久々に見る筑波山は東京から見える山としては富士山に次ぐ名峰だと思う。昔から和歌に詠まれたのもうなずける。とはいっても、本当の筑波山は北側に山並みの続く先頭の山なのだが東京からはそれが筑波山の後ろに隠れ独立峰の様に見える。だが、土浦から見る筑波山は双耳峰になりダイダラボッチの腰掛という民話が生まれた。
 
 私が若かった頃の通勤で、中央線の吉祥寺から西荻窪の高架で北窓の正面に日光の男体山が見え、少し目を左に動かすと空気が澄んでいれば赤城山が見え、更に左に目を移せば秩父の登谷山が見えた。
 東中野から大久保で中央線は右にカーブする。その時、昔は筑波山が見えた。しかし、今は高層ビルにさえぎられて中央線から筑波山を見る事はできなくなった。
 
 中央線の南側は相模湾に続く武蔵野台地であり、正面に山は見えないが左には千葉県の山が見えた。しかし、千葉県には500mを越える山が無く、どれが何やら山名を同定できない。
 右には大山を先頭に丹沢山塊が見え、その上に富士山がそれらを睥睨するかの様に突き出していた。座れない痛勤電車は辛かったが、北側でも南側でも山を見ていると心が和んだ。退職してからは電車に乗る事も少なくなり、車窓からそれらの山を見る機会もほとんどなくなり、少し寂しい。