ヒエラルキーによるイヂメの下方連鎖。

 江戸時代には『士・農・工・商』という身分制度があり、さらにはその身分制度から外れた『非人』という最下層民までいた。そして、その身分制度の上位者によるイヂメは当然のごとくに存在していたと思う。
 また、『駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人。』という言葉もあるくらいで、一くくりに町人と言っても職業による差別もあり、イヂメも存在していたと思う。
 
 私は『イヂメは群れて生きる生物に根源的に存在するものであり、同属同士による簡易な順位確認の手段。』だと思っている。(異種族との闘争はイヂメと言わない)
 前にも書いたが、サル山で順位の低い猿が上位の猿の目を盗んで物を食えば威嚇され、そのフラストレーションをより下位の猿をイヂメる事で解消する。力による階層構造が存在する生物においては順位とイヂメは切り離せない。
 
 階層構造が様々な生物に存在し人間もその例にもれないので、私達は階層構造の存在しない世界を想像する事ができない。平和と安泰を願う宗教にも神仏を頂点とした階層構造が組み立てられている。まあ、宗教というものが信者だけを救済する事を考えれば階層構造の存在などさほどの事はない。さもありなんである。
 
 イヂメが簡易な順位確認の手段という生き物の根源に存在するならば、イヂメを根絶する事は困難であるし、階層構造のない社会を考えられなければイヂメ根絶の手段を考える手がかりも無いといえる。
(無階層構造社会とはどんな世界なのでしょうか・私には考えられません)