これからは本当に一期一会。

 女房が姉妹で旅行に行きました。姉妹ですからみんないい歳です。観光地では婆が連れ立ってゾロゾロしているのを、お一人様旅行の爺(私)が『あれで楽しいのかな~』と見ています。
 たぶん女房の姉妹旅行もそう見られていると思いますが、女房達の場合は『姉妹で会えるのもこれが最後かもしれない』とか『今度会う時はこの中の誰かの葬式かもしれない』との思いがあるはずです。
 
 茶の湯に『一期一会』という言葉があります。一回だけの出会いの心境でおもてなしし、受ける側もその心境でいただくとの心得でしょう。交通の不便な昔に比べれば、現代はそんな事など気にもかけず、簡単に会いそして別れます。
 しかし、歳をとると会うのが難しいのを実感します。二世代同居であれば家庭の切り盛りは子供に移り、姉妹が泊りがけで遊びに来ると言っても良い顔は出来ないかもしれません。また姉妹で旅行に行こうとしても、子供夫婦が共働きで婆が孫の面倒を見ていれば家を空ける事も出来ません。
 
 女房の姉妹旅行に次は無いかもしれません。次に会う時は誰かの葬式の時と思っても、体が弱ってしまえば葬式に行く事も出来ません。
 交通手段も通信手段も便利になった現代ですが『歳をとれば本当に一期一会がやってくる』としみじみしてしまった女房の旅行でした。
(私の方は会いたくもない兄貴が隣に住んでいます