熊よけの鈴。

 山を歩けば、春には冬眠開けの熊に遭うかもしれない。冬眠開けの熊は空腹だったり小熊連れだったりで非常に危険である。秋には熊が冬眠準備のために食う事に気を奪われ警戒心が薄れている。とにかく山は野生動物のテリトリーだから人間の方が気をつけるべきだ。
 私は、たとえ低山であっても鳴り物をつけて行く事にしている。ところが先日、むかし草津と軽井沢の間をつないでいた草軽鉄道の電車道を歩いた時、熊よけ鈴を忘れてしまった。途中で『熊に注意』の黄色い警告板があり、鈴を持ってくればよかったと思ったがどうしようもない。仕方なくキーホルダーをジャラジャラ鳴らして熊よけ鈴の代用にした。
 
 まあ、日本の山で恐ろしい動物の筆頭は熊だが、熊はプレデターじゃあないのでジャラジャラやれば熊が逃げてくれるはず。もし熊がプレデターだったらジャラジャラは獲物(自分)の居場所を知らせる事になる。
 そんな事を考えながらキーホルダーをジャラジャラさせていたら、テレビで見たガラガラ蛇の威嚇音に似ている事に気付いた。あれは『それ以上近づくな』の警告音なのだと思う。動物には争いを避けるためにある程度の距離が必要であり、それ以上離れていれば警戒は解かないまでも戦闘行動は起こさない。
 以前カモシカに出合った時も、カモシカは上から私を見下ろすだけで逃げようとしなかった。私が攻撃行動を起こしても『これだけの距離があれば逃げられる』との余裕ある態度に見えた。(それとも駆け下って頭突きを食らわすど!!だったのだろうか)
 
 まあ、山の中は見通しが悪いので音は重要である。カサカサと枯葉を踏みしめる音だけなら小動物か風だが『ペキ。ポキ。』や『ガサガサ。ガラガラ。』は大型動物の歩行音かもしれない。特に木の折れる音は大型動物の可能性が高いから警戒しなければならない。
 
電車道ハイキングコースの入り口付近 (草津~軽井沢鉄道軌道跡)