宇宙旅行は可能か否か。

 私は、現在の宇宙技術の延長では太陽系を飛び出すのも不可能だと思います。現在の宇宙技術の弱点は宇宙船の脆弱性です。重力を振り切って宇宙に飛び出すために、ロケット関連の技術は軽量化を押し進めてきました。現在の宇宙技術は川舟を海に浮かべた様なもので、川舟で何日も安全に大海を航行する事はできません。同様に現在の様に脆弱な宇宙船での高速移動は宇宙の塵との衝突に耐えられません。
 また、進行方向にある宇宙の塵や光を発しない小天体をどうやって検出するかです。小天体ならレーダーで見つけられるかもしれませんが、レーダー反射の小さな塵は見つける事ができません。たった直径約8mm長さ約3cmの小銃弾でも人間は死にます。こぶしくらいの宇宙の塵が宇宙船に当たれば、そこで宇宙旅行は終わりです。
 
 次の問題は宇宙旅行にかかる時間です。宇宙船の速度が遅く、相対性理論の『高速移動では時間が遅くなる』という利点の無いドン亀宇宙船では時間がかかりすぎ、1世代では目的地に到着できませんし、初代のモチベーションを次世代以降が持ち続ける事など絶対にできません。それは、終戦直後に不戦を誓った日本が別の方向に進んでいるのと同じです。人間はたった2~3世代で変わってしまうのです。
 
 第3の問題は宇宙船の故障修理です。何十年も何百年もかかる宇宙船の修理は予備品だけでは足りません。ゆえに、生産工場を持たない宇宙船に長期間の航行は不可能です。それは、今のパソコンの発達をみれば一目瞭然です。クロック周波数が数メガの8ビットCPUを使ったテクニカルキットの発売されたのが約40年前です。そんな古臭い8ビットのCPUであっても高度な生産技術があっての事で、宇宙船に宇宙船が装備するすべての機材を製造する工場を詰め込む事は不可能です。
 
 勿論、燃料の問題もあります。現在の宇宙技術では人工衛星になれる積載量は全体の数%でしかありません。少人数の人間を宇宙旅行させるために地球のエネルギーの大半を費やす様な事は誰も望まないと思います。
 人類を月に立たせる『アポロ計画』にすら『カプリコン』という映画ができました。宇宙旅行の『アホロ計画』ができたら『ガブリコン』という映画ができるかもしれません。
(『マトリックス』のパロ映画『アホリックス』を借用したパロで~す)
 
 すなわち、現在の宇宙技術の延長では太陽系を飛び出す事すら不可能です。それは、外からやってくる宇宙人についても同じです。もし、宇宙人のUFOが実在し太陽系外の知的生命体が乗っているとしたら、それは我々とはまったく別の宇宙論を発見したか別のテクノロジーを持っているか、あるいは何百年も宇宙をさ迷っているボートピープルみたいな連中のはずです。