私の車にはカーナビが無い。

 10年以上前になるけど、今回の震災で大きな被害を受けた福島県の松川浦に遊びに行った。当時は内海の松川浦と外海を幅20~30mの砂洲が隔てていて、風光明媚な所であった。
 行きは松川浦に直行し、帰りは新緑に輝く季節外れの三春滝桜を見て、母畑温泉を経由して帰って来たが、三春から母畑へ行く途中で迷ってしまった。一か八かで選んだ道が当たりで母畑に着けたが、一時は地図でも現在位置が判らず、道路標示の無い道を不安な気持ちで走った。
 
 この経験から私はポータブルタイプのカーナビを買ったが、いつもは後部座席のボックスに放り込んでおく。道に迷った時に引っ張り出して使うつもりだったが、福島の様な経験はその後起きていない。車の機動力は絶大なので、道に迷っても別のルートを地図で探せばいいし、歩きと違って引き返すのも苦にならない。
 ポータブルカーナビを使ったのは、歩きで秩父札所めぐりに行った時だけ。同じ様に札所めぐりをしているご夫婦からは『ビデオカメラですか』と聞かれたりしたが、女房はカーナビを見るより商店を覗き込むついでに「○番札所はどっちですか」などと聞いていた。
 女房のやり方はカーナビより確実に札所に着けるので憎たらしかったけど、商店やお土産屋を覗き込むのが女房の旅の楽しみ方なのだと思った。