食物連鎖による放射性物質の濃縮。

 植物は微量の放射性物質を取り込み、植物に取り込まれた放射性物質食物連鎖により人間にも達し、内部被爆を起こす。長年の内部被爆は癌などを発症させるという。
 私は歳だから放射能も癌も怖くはない。ただ、他人の作為により病気になるのは不愉快だ。すなわち、福島第一原発放射性物質による内部被爆で癌になり、そのすべてを自己責任とされるのは面白くない。
 放射能汚染地区ではないし、食物連鎖という自然の摂理の中で行われる濃縮ではあるが、自然界にある放射性物質を少し増やした責任者にも何%かの負担を求めたいと感じる。
 まあ、具体的方法としては癌治療に体内放射線の測定を義務付け、一定以上の体内放射線が検出されたら、医療費の個人負担を減額してもらえないかと考える。
 
 私の母は癌で亡くなった。最初の手術で執刀した医者は『見える範囲の癌はすべて取り除きました』と言ったが、わずか1年後に肝臓癌で亡くなった。2度目の入院検査で癌は全身に転移しており、体力回復も思わしくなかったので再手術もできず、癌の痛みを消すための麻薬の連用で心停止に至った。
 母を見送った私の心には、最初の手術も、その後の寝たり起きたりの生活も、入院中の麻薬でほとんど目覚めぬ姿も、母の人生の最後の1年が無意味なものに思えて仕方がなかった。多分、母も無念に思っていただろう。
 もし、それと同様な事が私の体に起こり、その原因が内部被爆であったら、私は死ぬ事よりも、無意味な人生の最後を歯軋りして悔しがるだろう。
(この世には受け入れられる不条理と受け入れ難い不条理がある)