福島では失敗したが、浜岡は大丈夫(?)。

 津波前一時停止か=1号機の非常冷却装置―地震前後の記録公開・東電
 福島第1原発事故で、東京電力は16日、地震前後の原子炉の状態を計測したデータや運転日誌などを経済産業省原子力安全・保安院に報告した。データによるとメルトダウン(全炉心溶融)した1号機では3月11日午後2時46分の地震発生直後、炉内を冷やす非常用復水器が起動したが、津波到達30分前の同3時ごろ停止。日誌などの操作記録では同6時10分に動作が確認されており、いったん停止した後、再び起動したとみられる。
 東電は15日、1号機について非常用復水器が津波到達で停止したと仮定した上で、3月12日午前6時50分ごろには溶融した燃料がほぼ全て落下したと解析。非常用復水器の動作状況は燃料損傷の進行に影響するため、実際の作動状況について詳しく調べる。
 炉内の状況を自動記録した「チャート」によると、地震直後の原子炉自動停止に伴い炉内圧力が上昇。直後に圧力が急減しており、非常用復水器が自動起動したと推定される。しかし午後3時ごろには再び圧力が上昇、復水器が止まったとみられる。操作手順書は、炉内圧力が急減した時には復水器を止めるよう定めており、運転員が操作した可能性もあるという。
 チャートは津波到達で途絶えたが、操作記録では11日午後6時10分に非常用復水器の弁が開き、動作が確認されている。この間、津波到達を挟んで約3時間は復水器が動作しておらず、燃料の損傷が進んだ可能性がある。同9時19分には、動作に必要な水を非常用ポンプで補給した記録があるが、復水器がいつまで動いていたかは不明だ。
時事通信 5月16日(月)22時3分配信)
 
 昔の無線技術者仲間には『初めての故障は誰もが初心者』という言葉があった。今回の福島第一原発の事故も東電にとっては初めての事態だった。多分、福島第一原発の技術者達はどうやって安全に停止させるか判らなかったと思う。そして、机上作成されたマニュアル通りに操作し、結果的には失敗した。そして、失敗の結果は『想定外の事態』で逃れられない重大な事態になった。
 SF小説で、しょっちゅうコンピュータが故障する宇宙船の話があった。乗組員は『このオンボロ宇宙船め』と腹を立てて悪態をつくが、その故障も実は宇宙船のコンピュータが起こし、乗組員が取扱いを忘れないプログラムというオチである。
 平穏無事に何事もなく物事が動いていると、人間は不勉強になって何も知らないのと同じになってしまう。原発だって入社訓練や習熟訓練の場では緊急事態にどう対処するか教えていたはずだ。だが、教える側も『こんな事は起きませんけどね』と言いながら教えていただろう。
 今の自動車も原発と同じ様なものだ。昔ならエンジンが掛からなければ色々調べて何とかするドライバーが沢山いた。ところが今の自動車はボンネットを開けてもエンジンルームの主要部分は小奇麗にカバーされていて、手を汚す事もないがドライバーには手の出せないものとなっている。
 我々は利用するだけで機械を理解していないのだ。これでいいのだろうか。