船酔いするほどの余震。

 大地震の後に余震が頻発するのは知識として知っていたが、こんな立て続けに頻発するとは思わなかった。今回の余震の多さで一時は船酔い?になってしまった。
 船酔いではひどい思い出がある。小笠原がアメリカから返還された時、本土との通信手段を確保するために短波の電話回線が作られた。その仕事で小笠原に行ったのだが、片道3日近くかかる船旅で完全に船酔いになり、船中での食事が食べられないだけでなく、船から降りても丸1日くらいは気持ちが悪かった。特にラーメンはユラユラ揺れるどんぶりを見るだけで船酔いがぶり返した。
 今回の地震で延泊した草津では東北地震の余震と、山向こうの中越地震に揺すられて11~13日までは船酔い症状になってしまった。それが不思議な事に、13日に自動車を運転して帰ってきたら症状はピタリと止んだ。
 ところが自宅では女房がそうなっていて、カタカタとした物音を聞いたり、テレビに地震の映像が流れると、揺れていなくても揺れた気がして『アッ。地震。』と過剰反応する様になっていた。
 私のいない間、電話では『大丈夫、大丈夫。』と言っていたが、内心は心細かったのだろう。13日の夜は寝るまで肩を抱き、女房は私の胸に顔を寄せていた。14日の朝も目覚めてからしばらくは優しく抱いていた。そして、女房の船酔い症状はおさまった。
 信じあえる人がいる事は喜びも倍増するが、不安の時はさらに大切な存在になる。大震災で夫婦や家族がバラバラに避難した人の心細さには及ばないが、その人たちの心を少しは推し量れる様になった内蔵助です。