昔はお正月が嬉しかった。

 昔は歳をとるのが嬉しかった。出来なかった事が出来る様になったから。
 今はお正月はあまり嬉しくない。
 今は歳をとるのが寂しい。出来ていた事が出来なくなるから。
 
 私のボヤキに比べると一休禅師は粋な言い方をする。
 『正月は冥土の旅の一里塚 目出度くもあり目出度くもなし』
 まさにその通りだと思う。
 人は死を恐れるが、もし人間が不老不死であったとしたら、
 進歩も発展も無いおぞましい世界だったかもしれない。
 世代が代わる事で新しい文明や文化が生まれると思う。
 そう考えると、一休禅師の
 『親は死ね 子死ね 孫死ね ひ孫死ね』
 の世代がつながる目出度さもわかる。
 早く子供を生めよ。我が子達。
 そうでないと、本当のお爺ちゃんお婆ちゃんになれないじゃあないか。