君の愛称は『ベラドンナ』だよ。

 シルバーウィングの愛称は『アトローパ・ベラドンナ』から『ベラドンナ』だけを貰いました。アトローパ・ベラドンナは西洋の魔女が使った薬草の名前です。日本のハシリドコロと近縁の毒草です。
 根の太いハシリドコロ芋煮会などで山ゴボウと間違えられて食中毒を引き起こす事があります。狂ったように走り回るのでハシリドコロ命名されたそうですが、色覚異常も引き起こすそうで、食べた者同士がお互いに『お前、口が真っ赤だ。血が出ている。』と言い合うらしいです。
 西洋の魔女が使うこの毒草は、昔の社交界の貴婦人が瞳孔拡大の点眼薬として珍重したそうです。人間の瞳は好きな人を見る時には拡大するそうで、たとえアトロピンで拡大した瞳孔であっても男性を惑わせるには充分なのです。ただし、瞳孔が開きっぱなしとなり視力を失う女性も多かったといいます。
 現代にもアトロピンが大活躍した事件がありました。それは、オウム真理教による地下鉄サリン事件です。このテロ事件ではサリンによる縮瞳現象から、拮抗薬としてアトロピンが使われました。このサリンとアトロピンの『毒をもって毒を制する治療』をいち早く決めたのは聖路可病院の当時の院長だったとNHKの特別番組で観た記憶があります。
 ところで、なんでそんな恐ろしい毒草の名前を使ったかといいますと、後半の『ベラドンナ』は『美しい貴婦人』という意味だそうなので、そこだけチャッカリいただきました。