男が料理を覚える時。

 まあ、私の様に定年退職を期にという人も多いのだろうが、単身赴任から料理を始めた人もかなりいると思う。
 単身赴任ならば、台所を使うのは1人だから支障は無いが、私の様に退職後だと1つの台所を女房と2人で使う事になる。相方が台所を汚したままにしておくと、自分が料理しようとした時、後片付けから始めなければならないので腹が立つ。
 まして、冷蔵庫の予定していた食材が使われていたりすると、特に男は機転がきかないので料理を投げ出してしまう。そんな時の男は『女房が俺の食材を勝手に使うから~』と餓鬼の様な言い訳すらするものだ。
 私は、台所を2つ作るのは現実的でないと思うが、せめて冷蔵庫は2台にした方が良いだろう。もし、台所が相手のせいで汚れていたらバケツにでも入れて相手の冷蔵庫の前にでも置いておけばよいのだ。
 こうして自分が体験してみると、昔の嫁姑のしゃもじを渡す台所相続は、男親と跡継ぎへの家督相続なみに厳しい現実であったと思う。男親が息子に家督を渡し、女親が嫁にしゃもじを渡す。そして、爺婆として隠居生活に入ったのだと思う。