日本では何人の人間を養えるか。

 6月11日のブログに、農水省若手キャリアの『食料自給率100%』の話を書いたけど、もう少し面白く考えてみよう。
 私の記憶では、農地の1反(約1000㎡)は成人男子の1年分の米が収穫できる広さだと聞いている。日本の国土面積約38万k㎡で計算すると、3億8千万人の人口を養える事になる。
 ただし、これは山などの耕作不適地などを完全に無視している。勿論、住宅地なども無いし、野生生物の食料などもゼロである。仮に、2/3を野生生物のために返すと、養える人口は約1億3千万人に減り、現在の国民を養うのもやっとである。現実的には、都市などの住宅や各種施設用地が農地を更に狭くするので養える人口はもっと少なくなる。
 ところで、皆さんはウドンやソバは好きですか。私はどちらかと言えば、ボソッとした田舎風のソバが好きです。『それなら、毎日3食ソバでいいですか?』と聞かれると、それはご免こうむりたい。やはり、主食は米につきる。
 これをよく考えると、米は熱帯原産で寒さに弱く水を豊富に使う作物だから、低地の川に近い所でしか作れない。小麦は水の少ない所でも作れるが、あまり寒い高地では作れない。それに比べると、ソバは土地が痩せた寒い所でも作れるし、年に3回くらい収穫できる。
 今までの日本の農家では、米農家は豊かな農地に恵まれた土地に住み、小麦農家は水に恵まれない農地に住んでいたという事になる。ソバしか作れないソバ農家は他の作物にはあまり適さない土地にいるという事になる。十割ソバが名物といえばソバ好きは喜ぶが、つなぎの小麦粉も手に入らない土地であったという事でもある。
 現に、ソバのつなぎにフノリを使う所もあれば、羊歯類の葉の裏の毛を使う所もある。美味いソバを食いながらも、昔は非常に苦しい生活をしていたのだろうと考えてしまう。