貯蓄税という愚かな発想。

 お金が貯蓄に回って市中に出回らないので景気が悪い。だから、貯蓄の一定額を超える部分を税金として徴収しよう。というのが貯蓄税の概要らしく、それにより貯蓄から投資や買い物にお金が使われるだろうから景気は回復するらしい。
 これは、テレビ朝日スーパーモーニングでやったれしいが、全部見たわけではないので詳細は判らない。だが、Yahoo!知恵袋にも様々なQ&Aがある事から、どうも巷では有名らしい。
 まあ、一人の人間がものを考えると、大概は持論の欠点は考えない。この貯蓄税も同様であり、突っ込み所満載である。貯蓄税とは言いながら、その税額は多すぎて、利子を上回るだけでなく、貯蓄の没収に等しくて税とは呼べない様だ。
 まあ、そこに目をつむったとしても、利子より多額の税を取られるとなれば銀行から預金が引き出されるのは必定で、取り付け騒ぎになり銀行は破綻してしまう。破綻に目をつむっても、引き出された金が投資や買い物に回らずに、ほとんどは箪笥貯金になってしまい経済効果は少ないだろう。
 さて、箪笥貯金が増えたらどうなるだろうか。戦後の日本でハイパーインフレに襲われたのが手本になるかもしれない。戦前の貨幣単位は円の下に銭。銭の下に厘という補助単位があった。それが、戦後のインフレで、アッと言う間に1円以下の商品は無くなり、銭厘は使われなくなった。(千倍以上に物価が上昇した)
 そんなハイパーインフレに紙幣の印刷が間に合わないので、時の政府は市中に出回る旧紙幣にシールを貼って新円の代わりとした。ただし、1家庭に配るシールの枚数は限られていた。すなわち、いくら箪笥貯金をしていても、大半のお金は紙くずになってしまった。
 現代でも箪笥貯金が増えたら、政府が同様の事をしないという保障はない。大体が人間の考える事なんて昔も今もそうは変わってない。それより怖いのは、国債による借金が増え始めた頃に自民党の中から『戦争にでもなれば国債なんでチャラになるのに』とか『インフレになれば国債返還が楽になる』という発言が出た事です。