日本のエスタブリッシュメント。

 日本のエスタブリッシュメントのトップは天皇家である。天皇は王者であり、政治を動かしてきた権力者は時の覇者である。言ってみれば、日本のオーナーは天皇であり、政治のトップは雇われ社長の様な存在なのだ。
 蘇我の入鹿は熱心に中国の文物を学び、中国式の『覇者=王者』による国家を夢見た。ゆえに、天皇派=オーナー派により粛清され、現代までの国家体制としての『天皇=王者=オーナー』が定着した。
 大化の改新で確立した国家体制のメリットは、政治不安の責任をすべて雇われ社長ならぬ幕府に背負わせて、政権交代させて国民の不満の解消をはかった。これこそが、日本的安定国家の真骨頂である。
 もし、蘇我の入鹿が天皇家を滅ぼして『覇者=王者』の国家を創っていたら、明治維新は『王政復古』などという政権交代の様な革命ではなく、もっと血生臭いフランス革命的な混乱になっていたと思う。