昭和維新の夢。

 もう30年以上も前になるかな~。東京駅の丸の内口では右翼がよく街宣活動をしていた。外交に対する政府の弱腰や、自民党政治の堕落を厳しく糾弾していたが、将来の政治について語り始めた時に愕然とした。
 まあ、全体的には昭和維新を起こそうとの主張であったが、昭和天皇が我々の意図を汲まないのならば退位いただき、皇太子(現平成天皇)に即位願うと語ったのだ。私は背筋が寒くなり、足早にオフィスに戻った。
 『敬愛する天皇陛下』と語りながら、時と場合によっては退位を迫り、皇太子に即位してもらい、言う事を聞いてもらう。怖い考え方であった。
 まあ、太平洋戦争の開戦を決定する元帥会議の席でも、昭和天皇は命の危機を感じていたそうだ。源氏物語の昔から、天皇は政治の中枢にありながら束ねの象徴として生きなければならなかったおかしな存在である。
(お神輿に足は無い。担ぎ手が行く先を決める。)