『非国民』は最強の全体主義用語。

  『非国民』という言葉には国民を全体主義に誘導する強力な力がある。すなわち『非国民』と後ろ指(時には真正面から)を指されないために、最低でも全体主義者の真似をしなければならない。
  戦前の軍国日本では、少しでも国家への不満を口にすれば『非国民』とののしられ、食料の配給では順番を抜かされ、子供がいじめられ、それこそ娘が強姦されても、一家皆殺しにあっても『あの一家は非国民だった』ですまされる様な世相であった。
  『非国民』にはそんな力がある。だから現在でも『非国民』という言葉を使った時点でその人は全体主義者の片棒を担いだ事になると私は考える。
 
  『非国民』は『ユダヤ人』に似た威力を持っている。ヨーロッパにおけるユダヤ人迫害は、ただ不気味な放浪者の異邦人が居るという事ではない。キリスト教国におけるユダヤ人は、神(イエスキリスト)を殺した神殺しの罪深い民族だから迫害されたのだ。
  だから、ユダヤ人を強姦しても罪に問われるどころか、穢れた者とSEXした奴としてさげすまれ、獣姦マニアよりも軽蔑された。
  『ユダヤ人』と同様に『非国民』というレッテルは国家のガバメントをより強力にする全体主義者の切り札であり、世間にはそれに対抗しうる言葉が存在しない。
 
  群れて生きる習性の人間は群れから外されるのを極端に恐がる。『非国民』は国家という群れから締め出すぞという脅しの言葉なのである。