グレープフルーツの蔕(へた)

  ヘタは果実に必ずついているのだが、漢字は知らなかった。これ1文字を見たら読めないし、字の冠がゴチャゴチャしていて書くこともできない。
 
  なんでグレープフルーツのヘタの話かというと、女房が旅行に行って留守の時に炭水化物とタンパク質の多い食事でビタミン不足だったのだろう。普段なら自分では買う事のないグレープフルーツを買ってしまった。
  柑橘類を食べると歯の根元が敏感になり、お茶を飲んでも歯根に刺激が出る。これがシビレた足に触られる様な感じで、歯は脳に近いせいかすこぶる気持ちが悪い。思わず買ってしまったグレープフルーツだったが、なかなか食べる決断がつかない。
 
  そんなこんなでグレープフルーツをもてあそんでいるうちに、ヘタに爪を立てて取ってしまった。ヘタのとれた凹みを眺めているうちに(なにかヘソに似てるな~)と思った。
  ボ~ッとグレープフルーツを見ながら、ヘタもヘソも枝や母体から栄養をもらう受け口なのだから似ているんだと思った。そして、ヘタもヘソも似ているならグレープフルーツのヘソはずいぶん浅いと思った。
 
  私も子供の頃は(恥ずかしいけど僕は出ベソなんだ)と思うぐらいにへそが浅く、風呂屋で体を洗えば自然とヘソの底も洗えていた。それが今の私はヘソが深く穴も押しつぶされて自分のヘソの底など見る事ができなくなった。
  女房にそんな事を話したら「私は指にタオルを巻きつけて洗うわよ」と言った。いやいやそうじゃあない『自分のヘソなどしみじみ見た事ないだろう。子供の頃はよく見てたけどね』と言ったら「おヘソの底など中学生のころから見た事がない」という。
 
  私は心の中で(あなたは中学生くらいから太り始めたのね)と思った。そして、私がヘソの底を見なくなったのはお酒を覚えてからだと思い出していた。就職した時の体重が13貫半くらいだったから、換算してみると50~51Kgになる。
  20歳ころの体重に戻すためにはあと10kg以上痩せなければならない。もしそこまで痩せたとしたら成人病は治るかもしれないが、少し体を冷やしただけで下痢する様なあの体には戻りたとは思わない。
 
(大人の話もアップしました)