平成天皇お気持ち表明放送。

  8月8日15時から各テレビ局で一斉放送があった。私は人間天皇の精一杯の気持ちであったと感じた。
  長寿社会における生前退位は理解できるし、お言葉の中で摂政制度にも言及され、否定的な考えに大きく心を動かされた。
 
  私は一時期、東京駅丸の内北口を通勤経路とした事があった。その頃、東京駅丸の内口は右翼の街宣場所となっていて大日本愛国党赤尾敏党首の演説を耳にした事もある。
  だが私にはどうしても判らない事があった。『皇太子殿下にご覚醒願い、天皇陛下にはご退位願いたい』とうい言葉である。
 
  俗人である私には『皇太子殿下にご覚醒願い、天皇陛下にはご退位願いたい』というのが理解できない。側近の言う事を聞かなくなった年寄りの天皇は退位させ、言う事を聞く若い皇太子を天皇に即位させ、若さゆえの思慮の足らなさは摂政が補佐するという事なのだろうか。
 
  しかし、摂政制度は長い間政治のあり方を混乱させた制度でもある。大化の改新以降、戦前の日本までは、大化の改新の功労者中臣鎌足(後の藤原鎌足)の子孫たちが摂政として君臨していた。
  摂政になる特権は藤原家を開祖とする『近衛家九条家鷹司家一条家二条家』の五摂家制度である。すなわち、五摂家以外の血筋の者は摂政になれないという独占機構である。そして長い年月、藤原家は政治のNo2として君臨し実利を得てきた。摂政制度というのは天皇家にとって最も長く、最も苦い制度であったと私は思う。