初めてではなかったけれど、ドキドキしたお使い。

  年に1回くらい日本テレビで『はじめてのおつかい』というのが放送される。まあ、親や爺婆とすれば涙なしには見る事ができない。そんな話を女房としているうちにヒョンな事を思い出した。
 
  小学校へ上がる前だったと思うけど、お袋から5円切手を2枚買ってくる様に言われた。当時は醤油やソースは量り売りで、ガラス瓶を持って3合とか5合とか適量を買いに行っていた。
  だから、少し遠い郵便局へ切手を買いに行くのにためらいはなかった。だが、10円払って渡されたのは、持ち重りの感じられない小さな紙切れだった。
 
  帰り道、切手を何回も見て(これが10円?)と、醤油やソースの様な持ち重りの無い紙切れを持ち帰るのがすごく不安だった。
  心の中には(お母ちゃんに『こんな物に10円も出して』と怒られる)という不安が渦巻いていた。
  切手をお母ちゃんに渡したが怒られなかった。しかし、小さな紙切れが何で10円もするのか恐ろしくて聞く事ができなかった。
 
  小学校に上がって切手の事は判ったが、それを知るまでズ~ッと不安な気持ちを持っていたのが恥ずかしくて、今度は切手の苦い思い出を
誰にも言えなくなってしまった。この歳になってやっとブログに吐露できてスッキリしたから、きっと安らかに逝けるに違いない。