楽は苦から生まれる?。

  私は、歳とともに筋力が衰えるのは動物として仕方のない事だと思っている。しかし、筋力の低下はなるべく防ぎたいと思い、目覚めると布団の中で運動をしてから起きる様にしている。
  そんな事をやっているうちに『ひょっとして楽は苦から生まれるのかな?』と思ってしまった。
 
  目覚めて布団の中で体を動かすのだから、そんなに大げさな事はできない。腕や足や腹の筋肉を30秒くらい硬直させたり弛緩させるアイソメトリック運動をしている。
  そして妙な事に気づいた。思いきり硬直させた筋肉を弛緩させると、その筋肉から気持ちが良くなる事に気づいた。その感覚はきつい筋肉労働をした後に酒を飲むと、アルコールが筋肉をときほぐす気持ち良さに似ている。
 
  そして私は、苦とは原始生命が生存環境の悪い所では細胞を緊張させて苦痛に耐え、生存環境に適した所に着くと緊張をほどいたのではないかと考えた。そして、それこそが楽の根源なのだろうと感じた。
  そうであれば、楽のためには苦を許容するしかないのかと、観念せざるをえない事も理解するしかなかった。達成感などという喜びも、仕事という苦の後におとずれるから、やはり苦楽は表裏一体なのだと思うしかない。
 
  そういえば、地獄の中には『無間地獄』というのがある。普通の地獄にはホッとする瞬間があるが『無間地獄』の責め苦には切れ目が無いという。きっと、昔の人も苦楽は表裏一体と考えていたのだと思う。