一芸に秀でる者はすべてに通ず。

 自分の好きなものに一心不乱に打ち込み、その分野でトップに立つと、それを見る人々は『どうせそれだけしかできない奴さ』などとひがんでこき下ろす事がある。
 だがしかし、山を見れば判る様に、高き山は広き裾野を引く。人も同じ。尖んがった人も、自分は気づかずとも、自然と裾野は広くなっている。
 
 NHKの番組に「知恵泉」というのがある。その中の『高田屋嘉兵衛』の回のゲストとして、宮内義彦(リース業から金融業などの多角企業の経営者となった人)が語った言葉が面白かった。
 番組の中でその人は『リース業は物を貸すのが商売。金融業は金を貸すのが商売。貸す事のノウハウは同じ』と言った。すなわち、自分が高まれば、隣の峰に登るのはたやすいという事である。
 そして宮内義彦も番組の中で『自分もノウハウの共通する仕事に手を広めた。すると、その先にまたノウハウの共通する仕事がある』と語った。そして、私も悟った。私は棚ボタを待っているだけだった。
 
 私はアマチュア無線を入り口としてプロの無線屋となった。無線などは俗に『弱電』と言われ、東京電力などの仕事は『強電』と言われて、同じ電気でも住み分けは区別されていた。
 だが、無線機も電力が無ければ動かない。必然的に強電の資格も必要になる。会社から電気工事士電気主任技術者の資格も取らされた。しかし、私にはそれを活用する頭が無かった。
 『ムムムッ、名を成す人の考え方は違う!。棚ボタなど待っていなかったのだ!!』と、いま気づいても、遅いか~。(残念)