厳冬期にだけ具合が悪くなる湯沸かし器。

 18年間使った湯沸かし器がなんとなくおかしくなった。湯が出ないわけではないのだが、昨年の一番寒い時期の約1か月間、口火はついても湯が出ないという症状になった。今年も寒くなってきたものの、まだ湯は出ている。だが、昨年と同じ症状になっては困るので湯沸かし器を取り換える事にした。
 
 私の家はハウスメーカー製の家なので、まずハウスメーカーに相談した。すると数日後に下請会社が取り付け場所などの様子を見に来た。いろいろ説明して帰って行ったので、私は下請会社が施工するのだと思い込んだ。
 しかし、交換の当日に訪れたのは孫請けの会社だった。なおかつ、下請会社の社員も来たので2人で作業すると思ったら、下請会社の社員は孫請けが仕事をやりに来ているかどうかの確認だけだった。
 
 厳しい時代である。そして、仕事は親会社から子会社に、さらに、請負業者へと流されていく。親会社は電話で相談を受けて子会社へ仕事を回して、多分、契約金額の30%くらいはピンハネするのだろう。
 子会社が下請業者に仕事を流す時、湯沸かし器1台について5000円くらいの単価でやらせるのだろう。
 
 本当に厳しい時代である。民間の競争原理という経済構造は過剰な賃金の引き下げという過酷な競争を強いる。
 私は古い人間なのだろう。どうしても適正利潤という考えが心の底に残ってしまう。値下げによる競争は、時として仕事の結果の品質を落としてしまう様な気がしてならない。幸いな事に、湯沸かし器の工事に来てくれた業者の人は大柄だが愛嬌があり、かわいらしい人間性の人物であった。
 私は過剰な競争よりも、本当に汗を流す者にこそ適正な報酬が与えられる日本になってもらいたいと思っている。