『海外貯金をお返しします』と国家は言う。

 私は貯金と預金を区別して使う。貯金も預金もお金を貯める事だが、貯金は郵便貯金の事で、預金は銀行預金の事と区別している。すなわち、貯金は国家にお金を預ける事であり、預金は民間企業にお金を預ける事として使う。
 
 日本が第二次世界大戦に負け、海外から多くの日本人が帰国してきた。当時の国家は引揚者の海外での郵便貯金を一時預かった。しかし、いまだにそれは持ち主に返されていない。1年ほど前にも返還するとNHKニュースで流れたが、数円から数十円にすぎない貯金通帳など誰が取りに行くだろうか。
 だがそうして集めた郵便貯金は国家が戦争遂行のために軍事費として使い、敗戦後の国家には返済能力が無いので、国内での貯金者対応にも苦慮する国家は海外での貯金通帳を没収したのだ。
 所詮、紙幣は紙であり、預貯金は文字である。国家の信頼が無くなればそれは紙と文字に戻ってしまう。
 
 財産は1/3づつに分けて運用するのが良いとされる。1/3は貴金属など目減りの少ない財産として。1/3はお金に仕事をさせる投資に。そして1/3を日常生活にあてる預貯金とする。そして、何かのおりには1/3の貴金属を持って逃げるのである。
 必然的に、貴金属は亡命や難民で海外に出る時に隠しやすいダイヤなどになる。それでも、亡命中に宝石的価値を認められるダイヤは10カラット以上になり、5カラット以下の指輪などは1夜の宿代にしかならない。
 純金も有功ではあるが、大きくて重く海外への持ち出しには不向きである。それは、1Kgの金塊をどうやって隠せばよいか考えてみれば判る。大概は出入国で発見され没収されてしまうし、成人男子でも40Kgの純金を身に着けるのが限界で、その時は純金より大切な食料を運ぶ事ができない。
 
 と、理論では判っていても、10カラットのダイヤも買えなければ、1Kgの金も買えず、投資信託や株などの元本が保証されないマネービルには乗れない貧乏人の内蔵助です。
 まあ、どんなに日本がどんなにひどくなっても外国語が苦手なので日本から出る事のできない内蔵助でもあります。まあ歳も歳だし、親の死んだK点も間もなくですから何があっても日本で死のうと思います。