気に入らない最近のオートバイのデザイン。

 先日、小河内ダムに行った時に目の前でBMWのF800が停車し、ヘルメットを脱いだら私と同じ熟年ライダーだった。格好の良いバイクではあるが、ハンドルの位置と燃料タンクの形状とシートの形から乗車姿勢はかなり限定され、長時間走行は辛そうに思えた。
 中年を過ぎて腹に脂肪が貯まると腹部を屈曲させた姿勢では膀胱が圧迫されて短時間で下腹部が苦しくなる。また、低速でしか走れない日本の道路事情では、前傾姿勢の上半身を支える風圧が弱いので腕への負担が増える。なによりも乗車姿勢が限定されるデザインは熟年ライダーを疲れさせる。
 
 オートバイは趣味性の高い乗り物なので、巷には改造されたオートバイが溢れ、なかには操安性を欠く様な違法改造車もある。
 違法改造車は別として、人間には背の高い人も低い人もいるし、足の長い人も短い人もいる。本来的に、1つの形で万人にフィットする乗り物など造れないのだ。開発者やテストライダーがベストのオートバイを造ったとしても、買った人にベストとは限らない。だから、時に車体と体格が合わない事もある。
 
 以前、スズキのストリートマジック110で休憩せずに3時間ほど走り回って帰宅したら、関節がギクシャクして体が伸びるのに数分かかってしまった。
 小さな車体だったので体が固まってしまったかと思ったが、大きさ的にはストマジもグランドアクシスも大差はない。それよりも、ストマジは小さな座席とステップバーなので乗車姿勢が限定されるが、アクシスはスクーターなのでステップボードの何処に足を置いても構わないし、尻の位置も動かせる姿勢の自由さによる違いだと気付いた。
 
 先日、ホンダの偉いさんが『いま日本は第3次バイクブーム』と言ったそうだが、中高年もその一端を担っていると私は信じている。そのためには乗車姿勢の自由度の大きい中高年の体が固まらない様なオートバイを設計してもらいたい。
 更に、オートバイの上で仮眠ができれば、私にとっては言う事なしであるが、ベラドンナちゃんは燃料タンクが無いので仮眠できない。でも、シート巾の広さは充分なので、いつかベラドンナちゃんで仮眠してやろうと企んでいる。
 
 カスタマイズについてだが、バイクよりもライダーを先にすべきだと私は考える。マル暴の特攻服なども1つのカスタマイズではあるが、どうも年寄りには向かない。ベラドンナちゃんで走っている時に『黒のダブルにエナメルの靴』ではどうかなと思った。
 映画『007シリーズ』でジェームスボンドがウェットスーツを脱ぐとその下には夜会服を着けている。それからのイメージだが『黒のダブルにエナメルの靴』はどうも別の意味で似合いそうにない。何か別の格好を考えよう。