不景気は強権政治の土壌を生む?

 不景気は心に閉塞感を生み、人々は閉塞感を打破したいと願い、強力な指導者の出現を期待する。そんな世相では、石原東京都知事や橋下大阪市長(前大阪府知事)の様に強烈な個性と断定的な言い方の政治家が出現する。
 石原は元々あの様な人物であり、都民もそれを知っていた。だが選挙になると政治的資質があるかどうかではなく、勢いに期待したり、裕次郎の幻影に投票した結果の都知事誕生であったと私は思う。推測ではあるが橋下の場合も政治的資質よりも、勢いに期待したのとテレビによる知名度の高さでの府知事誕生だったかもしれない。
 
 石原の政治的資質については『まったく無い』と言いたい。2020年のオリンピック招致など噴飯ものである。東日本大震災による原発事故がそれまでに収束するわけでもなく、4年以内に50%という東京直下型の地震だって懸念される。オリンピック招致は原発事故のカタがついてからでも遅くはないと私は思う。
 
 昨日今日、橋下の『義務教育でも留年』という話題が沸騰している。元ネタは尾木ママというのが真相で、それに橋下大阪市長が飛びついたのであり、この騒ぎに尾木ママが困惑しているというのも面白い。
 私的には法律の専門家の橋下が、法律の根本精神である『弱者保護』でなく『強者優遇』となりかねない『義務教育での留年』という事を口にした点が気になる。不思議な事だが橋下は知事時代にも教育関係を目の敵にし、市長でも教育関係に波紋を立てたという事実である。何か教育関係に恨みでもあるのだろうか。不思議である。
 
(このブログの元ネタとなったスポーツ報知の記事を以下に貼り付けます)
 
小中学生も留年!尾木ママ提言に橋下市長乗った
(スポーツ報知 2月23日(木)8時2分配信)
 義務教育でも留年だ―。大阪市橋下徹市長(42)は22日、市教育委員との意見交換会を市役所で開き、一定の学力レベルに達しない小、中学生を留年させる「橋下流教育システム」の必要性を訴えた。教育委員側は、学力が低い児童や生徒に対するフォローは補習を充実させることで対処できるとしたが、継続審議が決定。小、中学校で留年となれば、子供への心理的影響は大きいとみられ、波紋を広げそうだ。
 橋下市長があっと驚く教育改革案をぶち上げた。この日、教育委員との意見交換会で「教育的に追いついていかない子供をどうするかということで、尾木さんっていう、常に僕のことを批判ばかりしているテレビ評論家の人がいいことを言われていた。子供のためになると思うんですよ」と発言。義務教育への留年システムの導入を提案した。
 きっかけとなったのは、教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹氏(65)の新聞に掲載された提言だった。20日の読売新聞夕刊(大阪版)のインタビュー記事で尾木氏は「小学校で九九ができなければ、留年させてでも面倒をみる。(小中学校でも)留年させても府民の子供の力をつけてもらう、というのを橋下さんが出してきたら僕は大喝采します」としていた。
 これを受けて、橋下市長は自身のツイッターで「さて、尾木さんからの留年制度の提案。検討に入ります。しっかり学んでいなければ留年させる。これが子供にとって一番良いと思います」。さらに「本日、教育委員会との意見交換があるので、問題提起します」としており、その“つぶやき”の通り、この日夜、教育委員の前で言及した。
 現行法では小、中学生の飛び級はできないが、留年は認められている。しかし、病気療養などで1年間の出席日数がゼロでも、自動的に進級できるなど、大阪市内では全く運用されていないのが現状だ。教育委員から「下(の学年)に行けば子供の精神的ショックが大きすぎる」との意見も出たが、橋下市長は「ショックが大きいのは当たり前。自然に『じゃあ下に行ってきてよ』と子供に言えるような風土を作っていかないと」と指摘した。
 橋下市長の問題提起を受け、義務教育における留年システムの導入は継続審議となった。実現すれば将来、就職活動で提出する履歴書などで「小学校留年」の経歴がついて回ることになりかねず、各方面からの反発も予想される。市長は「(水準以下の)当該科目だけでもいい」と、学力レベルに満たない科目だけ下の学年で授業を受けさせる“譲歩案”を示しながらもやる気満々だ。
 ◆尾木ママ「取り違え心配」見解の相違懸念
 橋下氏の方針に対し、尾木ママは「わたしの言ったことを橋下さん流に取り違えていないか心配よ」と不安を口にする。
 もともと履修主義から習得主義への改革を持論として語り、留年制度についても理想として語ってきたが、「お金、教員数…ものすごくたくさんの問題があって、メリットとデメリットを段階的に考えていくべきもの。橋下さんは単に子どもにプレッシャーをかけるためと考えてないかしら」と見解の相違を懸念する。
 橋下氏がツイッターで「尾木さんは一教師として一クラスを担当。僕は525校を預かっているのです」とつづったことに対しては「失礼しちゃうわ。わたしは日本全体に対して責任を持って評論をしているつもりなのに」と不快感をあらわに。
 橋下政治については「下からの声を吸い上げずに、自分の思いで突っ走っていく印象があるの」と辛口。今回の件に関して全く連絡がないそうで、「他の政策もこんなふうにして決めているのかな、と心配になっちゃいます」と指摘していた。