政府が情報を隠蔽するなら、マスコミも隠蔽している。

 菅首相が『福島には何年も人が住めない』と言ったらしいが、それは福島第一原発が被災した時から推測できた事だ。マスコミは菅首相を責めるだけだが、そのマスコミだって避難した住民が直ぐに戻れないのは百も承知だ。マスコミは非常に卑怯な理論展開をしていると思う。
 専門家でない私でも、福島第一原発が安定しても周囲にどれほどの放射性物質が飛散したか調査し、放射線濃度地図を作らなければならない。そして、放射性物質の濃度の高い所では表土の入れ替えを行わなければならない。これだけでも5年くらいはかかるだろう。
 次にやらなければならない事は、放射線濃度地図の維持管理だ。日本は雨の多い国だから、放射性物質は水に運ばれて水の集まる所の放射線濃度が高まる。現にこの現象はチェルノブイリ周辺で実際に起こっている事なので、自然濃縮による土壌の入れ替えもやらなければならない。
 それと同程度に大切なのは、地下水汚染である。これは浅井戸や深井戸を掘り、これも定期的に水質検査をし、地下水脈がどの様に移動するかも含めて放射線濃度の観測を行わなければならない。
 これだけの作業にどれほどの人と金が必要なのかは見当もつかないが、これをやらなければ避難した住民に故郷へお帰りくださいとは言えない。これらの結果、安全宣言を出せるのは早くても10年はかかるだろう。
 素人の私でもこれくらいの事は推測できる。だが、マスコミはこの重大な情報を伏せて菅総理を非難する。そんなマスコミのやり方は、なし崩し的に避難した人々を故郷に帰す結果を招くだろう。
 国は何をなすべきかの提案無しで政府をやり込めるマスコミは、結果的に避難民を死刑台へ送るのと同じ事をしているのだ。