定年退職後は料理に挑戦。

 何もしないで酒ばかり飲んでいると退職後約5年くらいで死んでしまう。そんな先輩が沢山いたので、それではいかんと私は料理を覚える事にした。
 だが、女房という料理の大先輩には逆立ちしてもかなわない。そこで私は女房と競合しない分野を目指した。パン、ウドン、ソバなどの粉料理ならば女房のレパートリーとかち合う事はない。
 だが、粉で部屋を汚して、市販の物より金がかかって不味いのでは何の役にも立たない。そう考えるとウドン、ソバは乾麺を茹でる方が安上がりなので、パンやケーキを作る事に落ち着いた。
 1回目のパンは捏ねも足らず発酵もせずで、焼いたら乾パンよりも硬くて、それよりもズ~ッと不味いのができた。仕方なく全部自分で食べたが、まるで罰ゲームの様で涙が出た。
 2回目は一生懸命に粉を捏ねたので良い弾力は出たが、やはり発酵が進まずに焼いても膨らまない。それでも1回目よりは食べやすくなっていた。これも自分で責任を取った。
 3回目は発酵も上手くいったが、2次発酵を充分にさせなかったので、周りが硬くて口の切れそうなパンが出来た。女房は中の軟らかい所をほじくって食べた。
 4回目はチーズパンに挑戦し、2次発酵も上手くいき、焼き上がりも香ばしく、女房と2人で300gの粉で作ったチーズパンは一気に無くなった。
 旨くできると食いすぎてしまうので、今はパンを焼かない。その代わりに500gの粉でパン生地を作り、ピザを2枚焼く。ピザは2枚とも十文字に切り、2枚だけ食べ、残り6枚は冷凍してしまう。
 それが食べ過ぎを防ぐ1番良い方法だと思っている。