国家に振り回された哀しき美女。

 北朝鮮の元工作員で韓国では元死刑囚の金賢姫は、国家に振り回されたあまりにも可愛そうな女性である。もし彼女がもう少しブスだったら。あるいはもう少し頭が悪かったら彼女の人生はずいぶん変わっていただろう。
 今回の来日を英国では『死刑囚をVIP待遇した』と報道したが、彼女を日本に招こうと日本政府は何回も韓国に働きかけていた。ところが、太陽政策を掲げた金大中政権は北朝鮮外交の妨げになるので日本の要請を拒否し続けた。
 韓国の現政権も最初は同様であったが、北朝鮮による魚雷攻撃で哨戒艦を撃沈されてから北朝鮮政策を変更し、金賢姫元死刑囚の来日を許可した。明らかに北朝鮮包囲網の政治的判断だと思う。
 大韓航空機爆破のテロから、韓国での死刑判決と特赦と、その後のKCIAの監視下での半拘束生活。そして今回の来日。今も彼女のすべては国家による政治的思惑で左右されている。