映画と漫画。

 手塚治虫も死んだ。そして、漫画の神様に憧れて上京し、ときわ荘に住んだ漫画家達も死にはじめている。その頃の漫画家達は手塚治虫の勧めで映画をよく観たという。
 例えば、石森章太郎の作品に『昨日はもうこない。だが明日もまた ・・・ 』というのがある。これは明らかに映画『ジェニーの肖像』のモチーフである。
 また、水野英子の作品に『赤毛のスカーレット』というのがある。これも映画『静かなる男』を子供向けに書き直したものである。
 この時代には映画や小説を翻案した作品が多いので、探せばもっと出てくるとは思うのだが、映画はDVD等で何とかなるかもしれない。だが漫画は消耗品なので、その時代の漫画が残っているはずもない。手塚治虫の作品集が復刻されて残っている方が異例なのだ。
 そういえば手塚治虫の『メトロポリス』も、まさに映画『メトロポリス』である。